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GovernanceCode監査法人のガバナンス・コード

令和5年7月1日 應和監査法人 総括代表社員 澤田昌輝

はじめに

 平成29年3月31日に「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」において「監査法人の組織的な運営に関する原則」(以下、ガバナンス・コードとする)が公表されました。その後、令和4年5月の「公認会計士法及び金融商品取引法の一部を改正する法律」やこれに伴う関連政府令を受け、令和5年3月24日に改定されております。

 本原則は、当初「大手上場企業等の監査を担い、多くの構成員から成る大手監査法人における組織的な運営の姿を念頭に策定されている」とされておりましたが、令和5年3月の改定により、「すべての監査法人を対象とした原則」とされております。

 当法人では、令和5年の改定前から、ガバナンス・コードをコンプライする他、ガバナンス・コードの趣旨に沿う様々な施策を当法人の組織に適した方法で実行(エクスプレイン)しております。改訂版のガバナンス・コードには資本市場を支える重要なインフラとしての監査法人の在り方が示されておりますので、その趣旨を理解し、ガバナンス・コードを採用した場合と同様の効果が得られる施策を行うことは、監査法人の適切な運営及び監査の品質維持・向上に極めて有用なことであると考えています。

以下、ガバナンス・コードの内容に沿って当法人の具体的な施策について説明いたします。
(当監査法人の【品質管理に関する報告書2023】もあわせてご参照ください)

ガバナンス・コードの内容に係る應和監査法人の取り組みについて

1.監査法人が果たすべき役割

ガバナンス・コードの内容

監査法人は、会計監査を通じて企業の財務情報の信頼性を確保し、資本市場の参加者等の保護を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与する公益的な役割を有している。これを果たすため、監査法人は、法人の構成員による自由闊達な議論と相互啓発を促し、その能力を十分に発揮させ、会計監査の品質を組織として持続的に向上させるべきである。

應和監査法人の取り組み

  • 應和監査法人では、「公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類そのほか財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の構成な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与する」という“公認会計士法1条”の公認会計士の使命を理念とし、監査の品質維持・向上に取り組んでおります。これは、ただ厳格に監査を実施し、批判的に指導する事を意味しているものではなく、「指導的機能」と「批判的機能」の両輪で監査を実施し、もって「会社の健全な発展」に寄与していくことだと考え、全構成員でこの価値観を共有しております。
  • また、社員(パートナー)5名を含む構成員数50名未満の組織であり、全構成員の顔が見える環境にあることから、このメリットを生かし、各構成員が日常から密なコミュニケーションを取り、お互いに尊重しつつも批判しあえる文化を醸成しております。
  • 会計監査においては、常に「物事の事実関係を適切に把握すること」が最も重要と考えています。企業の経済活動が広範囲かつ複雑になってきた現在においては、より深くかつ慎重に検証することの重要性が増してきていると考えます。應和監査法人では、監査ツールに振り回されることなく、常に「物事の事実関係を適切に把握すること」を会計監査の品質にかかる1つの重要な指針として、トップ自ら伝達するとともに、公式、非公式問わず構成員間においても常に自由闊達な議論と相互啓発をしています。
  • 非監査業務については、監査業務を最優先としつつも、非監査業務を通じて構成員の知識、経験を深めることにより、高品質な監査業務の遂行にも資すると考え、積極的に業務を実施しています。

2.組織体制(マネジメント)

ガバナンス・コードの内容

監査法人は、会計監査の品質の持続的な向上に向けた法人全体の組織的な運営を実現するため、実効的に経営(マネジメント)機能を発揮すべきである。

應和監査法人の取り組み

  • 應和監査法人は、前述したとおり、全員の顔が見える組織規模であり、社員(パートナー)数は5名でもあることから、組織運営はシンプルであり、特別な経営機関を設置し運営する必要は無いと考えております。そのため、社員会を経営の中心とし、社員会で執行状況の共有及びモニタリングすることで運営しております。
  • 監査業務においては、各被監査会社(クライアント)の「外部環境分析内容」や経営者ディスカッション等を通じて入手した内部環境分析(業績動向や経営上の課題を含む)」等について、社員会において率直かつ深度ある意見交換を実施しているほか、構成員とも自由闊達に議論が行われ情報共有されています。
  • また、監査業務における重要事項は、当法人の規定に基づき「重要審査事項」となり業務管理部でモニタリングしているほか、監査チームと審査担当社員の判断に相違がある場合には、社員会による審査が行われ、活発な議論のもと、結論を出しています。
  • 各構成員は個々人で、法人で設定された各種指標について目標設定を行い、その達成度合いや今後のキャリア希望等について1年に1度パートナーと面談を実施し、その結果を本人の業務アサインや法人全体の施策にフィードバックしています。
  • 監査業務の効率化、及び深度ある監査の実現に向け、ITの有効活用の検討を随時実施しています。
  • 法人の組織的な運営のため、各社員(パートナー)は個々の監査実務だけにとらわれることなく、適切な監査法人経営を念頭に入れて、共有すべき有用な情報については、法人運営にフィードバックしています。

3.組織体制(ガバナンス)

ガバナンス・コードの内容

監査法人は、監査法人の経営から独立した立場で経営機能の実効性を監督・評価し、それを通じて、経営の実効性の発揮を支援する機能を確保すべきである。

應和監査法人の取り組み

  • 應和監査法人は、前述したとおり、全員の顔が見える組織規模であり、社員(パートナー)数は5名でもあることから、組織運営は比較的シンプルであり、経営の外部の常設機関による経営機能の監視は必要無く、各社員間の相互監督により経営の実効性を確保できていると考えています。
  • ただし、法人顧問として外部の弁護士、税理士、社会保険労務士等の専門家が就任しており、毎月1回顧問を交えた会議を開催し、彼らから経営機能の実効性について適切なアドバイスを受ける体制を整備しております。

4.業務運営

ガバナンス・コードの内容

監査法人は、規模・特性等を踏まえ、組織的な運営を実効的に行うための業務体制を整備すべきである。また、人材の育成・確保を強化し、法人内及び被監査会社等との間において会計監査の品質の向上に向けた意見交換や議論を積極的に行うべきである。

應和監査法人の取り組み

  • 應和監査法人では主に構成員全員が出席する定期的な研修会や全体会議においてトップの考え方を全構成員に伝達し、ディスカッションを行うことにより監査の品質維持・向上に係る双方向のコミュニケーションを図っております。また、業務執行社員が構成員とともに現場で作業をする際においても、自由闊達な意見交換や議論をしています。
  • 各構成員の報酬は、給与テーブルがベースとなっており、「職業的懐疑心の発揮に関するスキル」、「会計・監査に係る知見」、「経験」等を加味して決定され、その内容は1年に3~4回のパートナー面談においてフィードバックされております。
  • アサイン担当社員は、監査スタッフのアサイン時にそれぞれの被監査会社の状況に応じた適切な監査品質を確保すること、及び各構成員が幅広い知見や経験を獲得しうること等に留意して適切な人材を適切な業務にアサインするよう工夫しております。
  • 被監査会社の経営幹部及び監査役等とは経営者ディスカッション等を通じて公式上のコミュニケーションを図る他、非公式のコミュニケーションも随時実施しており、監査上のリスク等について率直かつ深度ある意見交換を行っています。また、監査現場レベルにおいても同様に被監査会社との間で十分な意見交換を図っています。
  • 應和監査法人は構成員数50名未満のフラットな組織であるため、内部通報制度は採用しておりませんが、定期的な研修会やその他の非公式なコミュニケーションを通じて構成員間の連携を図り、何らかの問題がある場合はすぐに上層部へ情報が伝達される体制となっています。

5.業務運営(透明性の確保)

ガバナンス・コードの内容

監査法人は、本原則の適用状況などについて、資本市場の参加者等が適切に評価できるよう、十分な透明性を確保すべきである。また、組織的な運営の改善に向け、法人の取組みに対する内外の評価を活用すべきである。

應和監査法人の取り組み

  • 應和監査法人では、品質管理報告書を関する報告書を作成し、被監査会社へ説明をしているほか、ホームページにも公表し、全ての関係者が理解できるよう努めております。
  • 更に、監査の品質維持・向上に向けた取り組みについては、会社計算規則第131条の会計監査人の職務の遂行に関する事項において取り纏め、その内容を毎期監査役、その他役職員に伝達し、積極的な意見交換を実施しているほか、新規先の受嘱活動の際においても当該資料を用い丁寧に説明しています。その中で得られた有用なアドバイスや知見は應和監査法人の組織的な運営の改善に活用しています。

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